おのぼりさんになってみた

久しぶりに、何の予定もない自由な一日ができた。

買い物へ出かけた。

もはや、おのぼりさんである。

見るもの、聞くもの、どれも新鮮だった。

一番驚いたのは、外国人旅行者が「ふりかけ」を箱ごと買っていたことだった。

そんなに買うの?

思わず見入ってしまった。

レジの方が、「日本のお土産として人気なんですよ。いろいろな料理に使えるので喜ばれるそうです」と話しているのが聞こえてきた。

なるほど。

日本人にとって当たり前のものが、海外では特別なものになる。

その隣の100円ショップにも立ち寄った。

手ぬぐい、きらきらしたシール、トイレ用品、化粧品、消しゴム、色鉛筆……。

旅行者の買い物かごは、まるで宝箱のようだった。

「これを全部持って帰るの?」

そう思わずにはいられなかった。

余計なお世話である。

世の中では、円安や物価上昇が話題になっている。

三十数年ぶりの円安や債券安とも言われている。

その影響で、日本へ来る外国人旅行者は増え、日本の商品も魅力的に映るのだろう。

そう考えると、経済というものは決して遠い世界の話ではない。

子どもたちにも、小学校の低学年くらいから、暮らしの中で経済を学ぶ機会があってもよいのではないだろうか。

「どうして外国の人はたくさん買うの?」

そんな素朴な疑問から始まる学びは、きっと子どもたちの好奇心を育てる。

思いもよらない才能を発揮する子もいるかもしれない。

買い物を終えた旅行者は、次にどこへ向かうのだろう。

何気なく後を歩いてみると、細い路地へ入っていった。

「えっ、こんなところに?」

そこでは、お茶のお作法を体験できる小さな教室が開かれていた。

どうやって見つけたのだろう。

そう思った瞬間、少し恥ずかしくなった。

私は、この町のことをどれほど知っているのだろう。

日本のことを、もしかしたら海外から来た人たちより知らないのではないだろうか。

検索すれば、たくさんの情報は手に入る。

でも、その町を歩いた人にしか出会えない景色がある。

人と話したからこそ知ることのできる物語がある。

そして、検索しても見つからないものもある。

もう一つ、私が知っていることがある。

蛇口をひねれば水が出る。

電気がつく。

お店に商品が並ぶ。

その当たり前の日常は、たくさんの人の仕事によって支えられているということだ。

私は、そのことだけは忘れたくない。

検索してわかること。

検索してもわからないこと。

これからの私は、その両方を大切にしながら歩いていきたい。

そして、少しだけ「おのぼりさん」の気持ちを忘れずにいたい。

新しいことに驚き、感動し、学び続ける心は、いくつになっても失いたくないと思うから。

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