新しい風が吹くように

今日、法事に出席した。

読経のあと、お上人さんがお話をしてくださった。

あるご家族のお話だった。

ご主人が亡くなられて何十年も経つのに、遺品がそのまま残されている。

見るたびにつらくなる。

でも、捨てることもできない。

そんなお気持ちを、お上人さんは静かに受け止めながら話された。

「全部捨てなさいと言うのは酷でしょう。

でも、一つひとつ手に取り、『ありがとう』と言って整理していくことは、ご自身との対話にもなります。」

そして、こんなことも話された。

「物が減ると、そこに空間ができます。

空間ができると、新しい風が吹きます。」

なるほど、と思った。

さらに、お上人さんはこう続けられた。

「亡くなった方も、いつまでも後ろを向いて悲しんでいる姿を見るより、前を向いて、元気に生きていてほしいと願っているのではないでしょうか。」

その言葉が、すっと心に入ってきた。

帰り道、空を見上げながら考えた。

潮は満ち、そして引く。

季節は巡る。

月は満ち欠けを繰り返す。

自然は、いつも変化し続けている。

止まっているものは何一つない。

私たち人間も、その大きな流れの中で生きている。

だから、手放すことは終わりではない。

次の季節を迎える準備なのだ。

ありがとうと言って送り出す。

すると、空いた場所に新しい風が吹いてくる。

今日、お上人さんのお話を聞きながら、そんなことを教えていただいた。

とても穏やかな気持ちで家路についた。

もうすぐお盆。

ふと、「お墓に行こう」と思った。

きっと、ご先祖様も、私たちが前を向いて歩いている姿を、一番喜んでくださるのだろう。

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